肩書きに悩んでいた頃の話・3
人と話せば自分が見える。
人に気付かせてもらうときもあるし、
自分の発した言葉で気付くこともあった。
相変わらず「クリエイター」という肩書きだったが、
あるときいいアドバイスをもらった。
年配のクリエイターさんで、何やっている人か
全く分からない。(だいぶ経ってから編集者だと知った)
「何やってるか分からない人ほど、いいクリエイターだよ」
ベテランからこう言われると俄然勇気が出た。
それからしばらくその言葉を支えに
「クリエイター」として活動した。
ただ、イラストレーターとフォトグラファーと組んで
作品作りを展開していたアートユニット「Trigger」には
『ストーリーライター』という肩書きで参加していた。
このユニットで文章を書けば書くほどに、
作家として、物書きとして、ライターとしての欲求が
大きくなっていった。
実際Triggerで書く文章は自分で言うのもなんだが
どこに出しても「自分自身」を表した文章だ。
自分のテイスト。そう簡単に真似のされない世界と空気。
ただ、ビジネスとしてはどう使っていいか分からない。
どうはめ込めばマネタイズ出来るか分からない。
ただ、これが自分の最大の武器なのは間違いがなかった。
「いいクリエイターはさ、何やってるか分からないんだよ」
と、受け売りを語りながら、やっぱり自分の本質は
ライターなんだと思っていた。
その感情は、自分に対して「フラット」ではない。
そんな感じがした。
自分自身の展開も煮詰まり、限界が近づいているようだった。
《つづく》