自分の文章スキルを伝える仕事・前編

昨年の真夏に新しい仕事の打ち合わせをした。

企業研修内で文章のスキルを伝える研修講師が仕事内容。
朝から夕方まで8時間じっくり教える。文章を書くことが苦手だったり好きじゃない人達に、
文章を書くことの楽しさや気軽さや大切さを伝える。

・・・言うは易し、やるは難し。

自分にとって当たり前のことを、
当たり前でない人たちに教えることは当然難しい。

何度も何度もレジュメを作り直し、
パワーポイントのスライドも100ページほどになった。

何をどう伝えれば理解してもらえるだろう。
どうすれば書くことを楽しんでもらえるだろう。

自分が無意識にしている「書き方」を客観視する。
どうやって書いてるんだっけ。
仕事の依頼を受けてから、納品するまで。

僕は全行程の8割を思考して2割が書く作業だ。

何を書くか、誰に書くか、どう書くかを考えて整理している。
行程のほとんどをアイデア出しと構成に使っている。

そうか、うん、なるほどな。

異業種クリエイター仲間と飲んだ時、しれっと聞いてみた。
「文章書く時って、何に困る?」
で、返って来た答えのほとんどがこれだった。

「何を書いていいかが、分からない」

やっぱりそうか。ははぁ、やっぱりか。

脳内作業が問題なんだ。ここをクリアにしないと書けない。

・書くことが明確になっていない。
・目的があやふやになっている。
・着地点が見えていない。

だから書き出しでつまずいたり、途中で文章が破綻する。

テクニックは読むことと書き続けることで確実に身に付く。
研修は下手でもいいから自分の思いを文章で伝える方法を教えよう。

8時間分のレジュメとパワーポイントを試行錯誤しながら、なんとか作り上げた。

夏は終わって、季節はすっかり秋になっていた。

〈つづく〉

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