10年のデスクワークからノマドに戻った話
「旅をするように生きていたい」
大阪で一緒に活動していた仲間が東京に旅立つ際に、僕はそう告げた。
旅の途中で、またすぐ会えるんだからさぁ。って。
・・・これは自分に向けた言葉でもあるんだなと思う。
30才から10年ほどのお勤めで椅子に根を生やしてデスクワークをし続けていた。
当時は午前中の決まった時間に出勤して仕事して夜遅くに帰宅。
でもフリーランス。個人事業主。毎月のギャラを固定で頂く条件が出勤だった。
何よりもその組織にいること自体が好きだったし、楽しかった。
色々未熟だったけど、いいコンテンツを作って、売れるためにどうしたらいいか
みんなで試行錯誤を繰り返した。10年で本当に成長させてもらえた。
でも、出勤してから個人案件の打合せに出たり、
気分転換に出掛けたりすることに対して、勝手に罪悪感を覚えていた。
フリーランスとして個人的に別で受けた仕事をするのもオッケーだったが、
勤務中にその原稿制作の作業をしたりするのは気が引けた。
固定でお金もらっているんだから、勤務時間は100%そこの作業しなきゃダメと
勝手に感じていたから、何か隠れて悪いことをしているような気分だった。
資料を探すため本屋に行っても、郵便局や銀行に行っても、
「早く戻って作業しなきゃ」と焦燥感に追われてしまう・・・。
個人案件の打合せは全て「20時以降」にしてもらっていた。
承認欲求からかもしれんが、ほんと忠誠心ハンパなかったな。
昼食も手作り弁当をパソコン見ながら食べていたので、たまの夕方に近所のコンビニに
出ること以外、終日外に出ることがなかった。
ところが、30代半ばからこのスタイルにふんわりとした疑問を持つこととなった。
→【肩書きに悩んでいた頃の話】(※1〜5まであります)
本気の危機感を覚えたのは、珍しく午前中から昼にかけての打合せから出勤した日、
阿波座から本町近辺を通った時に目にした、ランチタイムの人の多さだった。
「ランチタイムって、こんなに人が多いのか!」
こんな「当たり前のこと」も知らずに人生を歩んで来たことに愕然とした。
これはヤバい。本当にヤバい。
この時、30代かなりの後半。40才目前。
40代からの10年をこんな状態で過ごすことを考えると、もうヤバさしかなかった。
そこから徐々に申し出て働き方を変えさせてもらった。
そして40才になる2015年、20代の頃と同じ、完全なる根無し草に再び戻った。
今で言うところの「ノマド」。
ずいぶんと身軽になった。財布まで軽くなったが、どこにでも行ける。
バックパックに仕事道具詰めて、文章で困っている人のところへ向かいます。
旅をするように、生きていたいから。