ライターとしてAdobe Creative Jam in Osakaに出場したときの話

Adobe Creative Jam in Osaka写真

ハピネス☆ヒジオカ兄さんから「Adobeのイベントに一緒に出ないか?」と誘われたのは2017年の暑い夏の日であった。
それ以前からうっすらと相談は受けていた。このイベントは二人一組でタッグになり出場すること、人間であれば誰でもいいこと、当日出されるお題で3時間以内に作品を制作すること、2013年にパリで始まりこれまで世界70都市で開催されてきたワールドワイドなイベントであること、グラフィック部門10組とモーション部門10組が参戦すること、こんなん考えてるけどどない思う?など。

それからしばらくしてもらった連絡では、ハピネス兄さんが誘った人たちにはことごとくやんわりと断られたらしい。確かに映像クリエイターからしたら、3時間はタイト過ぎる。データ書き出し時間の問題もある。そら、しゃあない。イラストをアニメーションにすることは出来なくなったが、ライターとして自分がタッグを組み、絵本のようなコンテンツはイケルのではないかと話し合った。
知り合ってからもう7年ほど経ち、実験レベルであったが何度かコラボはしているし、お互い好むポイントもなんとなくわかる。ハピニシラジオという不真面目極まりない音声コンテンツを不定期であるが公開している。そういう意味でいうとお互い手の内をよく知った間柄で、制作のやりやすいパートナーである。
また、自分はコピーライターであるが、シナリオやストーリー制作を得意としているので、なんとかなるんじゃないかなぁと、あまり深く考えずにオッケーしたのであった。そして、「happi24 bros.(ハピニシブラザーズ)」としてエントリーする運びとなったのである。

当日ぶっつけでもいいけど、一回顔合わせて話しておこうということで、イベント2日前の8月31日に二人で飲みに出かけた。天五商店街の飲み屋とバーをハシゴしてズクズク飲んだ。
飲みながら作戦を練った。これまで東京で2回行われてきたAdobe Creative Jamで出されてきたお題は、第1回が「ペンは剣より強し」、第2回が「初心忘るべからず」といった格言からだった。ということは、次のお題も格言だ!そう考えて思い付く格言でシミュレーションしてみたが、結局は「出たとこ勝負だね☆」という開き直り作戦でいくことになった。

大会当日の9月2日。会場である「味園ユニバース」に近い喫茶店でハピネス兄さんと二人でコーヒーを飲みながら、最後の打合せをしていた。出たとこ勝負と言っていたにもかかわらず、である。そこで出たのが「ありえない量の枚数を描いて書く」というものだった。個人的には「Adobeに叱られたら本望」という感情もどこかにあった。
味園ユニバースは元々キャバレーであり、そこで使われていたボックスソファーが各チームの作業エリアに割り当てられていた。場所はくじ引きで決定。我々の作業場は最もオーディエンスが行き来するバーカウンターの近くになった。そして、時間が来た。出場者のクリエイターが集められ、ついにお題が発表された。

『芸術は〇〇だ!』

Oh…

格言だが、まさかの大喜利スタイル。完全に想定外であった。まずは〇〇にはまるものを考えなければならないのだが、逆に考えれば自由度が高い。そして、3時間のカウントダウンがスタート。
まず芸術とは何なのかを考えるところから始めた。いわゆる「ブレインストーミング」、通称ブレストである。お互いに意見をガンガン出し合い、そこからまとめていく・・・のつもりが、決定打が出ない。めげずに脳みそを動かし続け思考を巡らすことでようやく出てきたのが、「芸術ってこの世界にある全てがそうなんじゃない?」というもはや悟りに近いアイデアだった。ここから一気にハピネス兄さんお得意の「日常にあるシーン」をピックアップしてネタを落とし込んでいく。しかもリレー形式で登場人物が次のネタにちょっと関わるような仕掛けも突っ込んだ。これを予定通り「ありえない量の枚数」にするつもりだったが、この段階で既に40分経過。
14ネタほど決めたところで、お互いの作業に取りかかる。ハピネス兄さんは作画、僕はストーリーの作成。ただのストーリーではなく、クスッと笑える要素をぶち込まないとダメだ。脳みそ超フル回転。時折お互いをチェックする程度でそれぞれの作業をガンガン進めていく。なんせ時間がないのだ。2時間あったら余裕でいけるっしょ!という甘々な想定はすぐに打ち消された。時間の流れが異常に速く感じる。14ネタは無理だ。タイムアウトで未完に終わるよりも、先にオチのコマを作って、それでもし余裕があれば追加で作ろうと決めた。言葉の細かなところで迷いながら進めていく横で、ハピネス兄さんもイラストに色をつけてガシガシ進めていっている。
なんとか文章を仕上げてやれやれと思った瞬間に血の気が引いた。この制作終了後のプレゼンタイムで「発表できる状態」にしてフィニッシュである。キレイに忘れていた!慌ててパワーポイントを立ち上げてスライドの制作に取りかかった。文章を貼って、仕上がったイラストを順番にもらっていくが、文の改行位置や行間の設定が上手くいかずにてんやわんやでなんとか形に出来た。その瞬間、制作時間終了のコールをが流れたのであった。

そして少しの休憩を挟んで、プレゼンタイム。時間は2分。作品の意図やアピールしたいポイントを自由にプレゼンできるが、我々は作品を「紙芝居」的に朗読する荒技に打って出た。二人とも気絶寸前で白目をむいている状態であったが、なんとか最後の気力でやりきった。ハピネス兄さんはこのとき真っ白であまり憶えていないといないと後に語っていた。司会の方から「こんなプレゼン見たことない!」「え?これ何ていうスタイル!?」というお褒めの言葉を頂き、しどろもどろで退場した。

結果、優勝を手にすることは出来なかったが、打上げ時にオーディエンスの女性から「ダントツで面白かった」という最高の賛辞を頂けたことで、我々の胸はいっぱいになったのであった。

ハピネス兄さんに誘ってもらえたからこそ、こういった大きなイベントに参加できたのだが、グラフィック勢にライティングの人間が混ざるのも面白いものなんだと思った。どうしてもAdobeというグラフィックソフトを中心に扱っている企業のイベントなので、「それ系」の皆さんが集まるのは当然なのだが、コンテンツ制作として考えたときにストーリーやシナリオを扱うライターがタッグを組むのはとても親和性が高いと感じた。改めて自分はライターであると同時にコンテンツクリエイターなのだと再認識したのだった。

Adobe Creative Station オフィシャルレポート

Adobe Behance オフィシャルレポート

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